更地の鑑定評価(売買の参考)奈良県北和地区の工業地

更地の鑑定評価(売買の参考)奈良県天理市の工業地

不動産鑑定評価ケーススタディー(この案件の概要)

東京に在住の地権者が、売買の参考のためにご相談がありました。奈良県北和地区(奈良市、生駒市、大和郡山市、天理市など)の工業地(更地)が対象物件であり、もともと、奈良県に縁のある方でした。

更地の鑑定評価(売買の参考)奈良県北和地区の工業地

この案件では周囲に規範性のある取引事例が多数存在していましたので、当該事例より比準価格を求め、鑑定評価額を決定しました。そして、依頼者には、鑑定評価とは別に、売買に参考となる情報をお伝えしました。

本件対象不動産が売買される場合の上限の価格は、標準的な価格・・・円/㎡に個別格差を乗じた価格・・・・円(・・・円/㎡)程度と思われますが、収集した取引事例は、対象不動産の周辺で複数確認されており、この相続税路線価を公示水準に補正した価格帯は、対象不動産の周辺にある取引事例の価格帯から見て、高いと思われます。  

対象不動産の周辺では、国道沿いで・・・円/㎡、・・・円/㎡の事例は確認されましたが、同じ県道沿いでは、形状の良い画地で・・・・円/㎡でした。本件土地の鑑定評価額・・・・・円は、この隣接事例の価格を要因比較し、・・・の個別格差を乗じて求められており、説得力は高いと思わます。  

売買に当たっては、最初に公示ベースの・・・・・円程度で反応を見て、それから・・・・円まで徐々に価格を下げていくのが良いと思われます。売買するまでの期間が長いほど、・・・・・円に近い価格は可能と思われますが、売り急いだ場合、30%程度は低い価格になるのではないでしょうか。

不動産鑑定評価基準:更地

更地とは、建物等の定着物がなく、かつ、使用収益を制約する権利の付着してい ない宅地をいう。

不動産鑑定評価基準、国土交通省

不動産鑑定評価基準:工業地域

工業地域とは、工業生産活動等の用に供される建物、構築物等 の敷地の用に供されることが、自然的、社会的、経済的及び行政的観点からみて合 理的と判断される地域をいう。

不動産鑑定評価基準、国土交通省

工業地とは工業地域のうちにある土地を言い、主な価格形成要因は以下のとおりです。

地盤、 間口や奥行、規模、形状等、高低差、接面街路との状況、道路幅員、構造等の状態、道路の系統及び連続性、交通機関との接近性、幹線道路との位置関係、  動力資源の状態、供給処理施設の整備の必要性、上下水道、ガス等の供給・処理施設の有無、埋蔵文化財及び地下埋設物の有無、土壌汚染の有無及びその状態、公法上の規制等です。

高速道路等のトラック等の配送に関する利便性を重視する産業基盤指向型の工業地については、その代替関係の及ぶ地域的範囲は、全国的な規模となる傾向があります。 これらの工業地は、大工業地を言います。

 製品を消費者へ配送する場合、その距離、消費者の市場規模等を重視する消費地指向型工業地については、製品の販売などに関する費用の経済性に関して代替性を有する地域の範囲に一致する傾向があります。 これらの工業地は、中小業地を言います。

不動産鑑定評価基準:更地の鑑定評価

更地の鑑定評価額は、更地並びに配分法が適用できる場合における建物及びそ の敷地の取引事例に基づく比準価格並びに土地残余法による収益価格を関連づけ て決定するものとする。

再調達原価が把握できる場合には、積算価格をも関連づ けて決定すべきである。

不動産鑑定評価基準、国土交通省

当該更地の面積が近隣地域の標準的な土地の面積に比べ て大きい場合等においては、開発法を適用することが求められる。工業地は、必然的に規模が大きく、開発法を適用すべきか検討すべきと思われる。具体的には、工業用途にしか需要がなく、戸建て分譲やマンション開発が考えられない通常の工業地は、開発法を適用すべきではないが、たとえ、現に工場の敷地であっても、例えば、大阪の都島のベルパークシティの土地などのように、もともとカネボウの工場が立地していた当時の工場の場合、その土地の適正な時価(マンション業者に売却する前の時価)は、工場用地の比較より、大規模なマンション開発などから得られる分譲素地の価格のほうが、規範性が高いように思われる。ただし、このようなマンション開発などは不確実性もあるので、需要の予測などは慎重に判断しなくてはならない。

更地の鑑定評価の論点(地中など)

更地とは使用収益を制約する権利の付着していない宅地を言いますので、地中も含めて負担の無い土地であることが要求されるのか。

更地とは、建物等の定着物がなく、かつ、使用収益を制約する権利の付着していない宅地と定義されています。この建物等とは建物及び償却資産を指します。そして、この建物等の定着物には、構築物等も含まれます。したがって、杭等についても、これが存しないことが「更地」の前提と考えられます。また、開発業者が、高低差を利用して、コンクリートの駐車場を構築することがあります。この駐車場は建築確認を取得すると確認できることが有り、建築計画概要書に「建物」と記載されています。そうすると、建物付の土地と考えることも可能です。いずれにしても「更地」の定義には該当しない可能性が高く、この場合、「自用の建物及びその敷地」、「更地」という不動産鑑定評価基準の定義ではなく、「・・・付土地」などのように表現したほうが、鑑定評価書を見る人の立場で考えれば、正確と思われます。

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