開発型証券化のまとめ(鑑定評価の基礎知識)

開発型証券化のまとめ

はじめに

開発型証券化とは、不動産証券化により、ビークル(器)を利用して行う不動産開発事業を言い、取壊し前提の既存建物及びその敷地、更地、建築予定の土地を取得し、建物を新築したうえで賃貸不動産等として売却するような証券化スキームを言います。

開発型証券化における鑑定評価にかかる留意事項(案)、日本不動産鑑定協会

一般の開発法と竣工後に転売する場合における開発賃貸型が相違するのかという論点がありますが、開発法はマンション分譲を想定した手法であり、販売総額に一棟の売却額を含むという解釈により開発型証券化で適用可能です。開発賃貸型は、開発法的要素を加味したDCF法と言え、竣工後建物に賃貸用不動産を想定した手法という特徴があります。

また、開発法の投下資本収益率は、価格時点後の建築費等の支払い期間の関係から月率で適用されるますが、DCF法における割引率は年率で適用されることが多いと考えられますが、必要に応じて、年率と月率を採用、あるいは併用する必要があります。

価格時点において既存の建物が存在しており、テナントの立退きに関し全ての合意が得られ、解体工事に着手しているとき現状所与で評価すべきか、既存建物を無いものとする独立鑑定評価で評価すべきか論点となります。 

証券化の鑑定評価では現況評価が原則です。しかし、不動産鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがあるかどうか検討の上、鑑定評価の条件設定を行うことが可能です。

具体的には、実現性・合法性の観点について検討を行い、テナント立退き合意の確認、解体工事調印資料の確認を行い、実現性について検討したうえで、依頼の背景の確認を行い、独立鑑定評価の条件設定を行うことになります。

なお、建物解体期間が短期であれば、建物の解体後の更地の時点に価格時点を設定し、「更地として」鑑定評価を行うことも考えられる。

新たに建築される建物の賃貸借予定契約書の内容が案の状態であり、賃料についてはある程度固まっているものの、建物のグレード等が未定な場合は、市場分析を通じて適正賃料の把握を行うことが重要です。

開発型証券化の場合、開発期間中の固定資産税はマイナスとして費用計上されますが、建設期間中の受け取り地代は収入としてプラス計上することが可能です。

不動産鑑定評価基準:第5章 鑑定評価の基本的事項

対象確定条件

対象確定条件を設定するに当たっては、対象不動産に係る諸事項についての調 査及び確認を行った上で、依頼目的に照らして、鑑定評価書の利用者の利益を害 するおそれがないかどうかの観点から当該条件設定の妥当性を確認しなければな らない。

なお、未竣工建物等鑑定評価を行う場合は、上記妥当性の検討に加え、価格時 点において想定される竣工後の不動産に係る物的確認を行うために必要な設計図 書等及び権利の態様の確認を行うための請負契約書等を収集しなければならず、 さらに、当該未竣工建物等に係る法令上必要な許認可等が取得され、発注者の資 金調達能力等の観点から工事完了の実現性が高いと判断されなければならない。

不動産鑑定評価基準、国土交通省

不動産鑑定評価基準に関する実務指針

-平成 26 年不動産鑑定評価基準改正部分について-

ⅲ 未竣工建物等鑑定評価

(設定した条件)

価格時点現在建築中の建物について、価格時点においてご提示設計図書とおり完成し 使用収益が可能な状態であるものとして

(条件設定の合理的理由)

本鑑定評価においては、現実の利用状況と異なる対象確定条件を設定しているが、 以下の点から鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれはないものと判断した。

・法令上必要な許認可を取得している。

・ご提示の設計図書により、完成後の建物の図面上の確認が可能である。

・発注者への聴聞及び発注者の有価証券報告書の確認により、当該建築工事に係る 資金調達及び工事完了の意思に問題はないものと判断される。

・請負業者の類似の工事実績等から施工能力に問題はないものと判断される。

・鑑定評価書の利用者は、依頼者及び対象不動産の購入予定者の取引金融機関のみ である。

対象不動産の確定(調査範囲等条件、未竣工建物等鑑定評価) (総論第9章)

REIT 未竣工開発物件、春日井センター

日本ロジスティクスファンド投資法人
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開発型証券化における鑑定評価にかかる留意事項(案)、日本不動産鑑定協会
開発型証券化における鑑定評価にかかる留意事項(案)、日本不動産鑑定協会

まとめ

開発型証券化とは、不動産証券化により、器を利用して行う不動産の開発事業を言い、更地などを取得し、建物を新築したうえで賃貸不動産等として売却するようなスキームを言います。

一般の開発法はマンション分譲を想定した手法であり、開発型証券化で適用可能な手法です。一方、開発賃貸型は、開発法的要素を加味したDCF法であり、竣工後の建物を賃貸することを想定した手法です。

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