不合理分割と鑑定評価(居住用財産の特別控除)大阪府東部

不合理分割 鑑定評価(居住用財産の特別控除)大阪府

不動産鑑定評価ケーススタディー(この案件の概要)

大阪市東部(東大阪市、八尾市、柏原市、門真市、枚方市、寝屋川市など)の一つの長方形の敷地に2つの住宅が有り、手前の住宅が居住用財産の特例を適用し、奥の不動産はその特例を適用しない不動産ということで、出来るだけ手前の不動産を高く、奥の不動産は出来るだけ安くなるイメージが描かれていました。

その時、奥の不動産は、敷地の真ん中で区切れば、無道路地になるので、奥は無道路地の上に建っている不動産、手前は道路に面した不動産ということでかなりの価格差が出てくるので、手前の不動産への配分が多くなると考えておられました。

私は、お話を頂いた仲介会社の担当者に伝えました。税務署でそのような考えの評価をすれば否認される可能性が考えられます。私の方で評価させて頂くことは難しいと思われますが、不合理な分割をすれば税務署で否認されるリスクがあることを、ご依頼者など伝えて下さい。

下記はイメージですが、実際は規模、総額がこれよりかなり高い物件でした。

イメージ画像(金額や格差は仮の数値)

マイホームを売ったときの特例(鑑定評価以外の基礎知識)

マイホームを所有者が売ったときは、所有期間が長い、短いに関係なく、不動産の譲渡所得から最高3000万円まで控除ができる制度(特別控除の特例)などがあります。以下は、2つの主な控除についてわかりやすく図解されていたので、添付しました。

マイホームを売ったときの特例 居住用財産の特別控除
マイホームを売ったときの5つの特例、三井不動産リアルティ

宅地の評価単位-不合理分割(鑑定評価以外の基礎知識)

国税庁の質疑応答例で、下記分割は、「無道路地を創出する分割であり、有効な土地の利用が図られず通常の用途に供することができない著しく不合理な分割と認められるため、全体を1画地としてその価額を評価した上で、個々の宅地を評価することとするのが相当と回答されています。

画地の分割 宅地の評価単位-不合理分割(1)
画地の分割

(1)については現実の利用状況を無視した分割であり、

(2)は無道路地を、

(3)は無道路地及び不整形地を、

(4)は不整形地を、

(5)は奥行短小な土地と無道路地を、

(6)は接道義務を満たさないような間口が狭小な土地を創出する分割であり、

分割時のみならず将来においても有効な土地利用が図られず通常の用途に供することができない、著しく不合理な分割と認められるため、全体を1画地の宅地としてその価額を評価した上で、個々の宅地を評価することとするのが相当です。  具体的には、原則としてA、B宅地全体を1画地の宅地として評価した価額に、各土地の価額の比を乗じた価額により評価します。

宅地の評価単位-不合理分割(1)、国税庁、財産評価基本通達7-2

 相続などで宅地の分割が、親子間等で行われる場合、その分割が経済合理性の観点から著しく不合理であると認められる場合、その宅地の評価は、所有者ごとに分割して評価するのではなく、その分割する前の一画地で評価することになります。

上記のように経済合理性の認められない不合理な分割が行われた場合、無道路地、奥行短小等の不合理な補正を行うことになり、適正な分割と判断されないのです。

著しく不合理な分割とは、無道路地が出来るケースや、分割で帯状地が出来るケース、過小な宅地が出来るケースなどが考えられ、分割により有効な土地利用が図られないと認められる場合が考えられています。  

この取扱いは、親子間だけでなく、法人・役員間や同族会社間の場合にも当てはまります。

No.4603 宅地の評価単位(鑑定評価以外の基礎知識)

宅地の価額は、1筆単位で評価するのではなく、1画地の宅地ごとに評価しますが、具体的には、次のように判定します。  

なお、相続、遺贈又は贈与により取得した宅地については、原則として、取得者が取得した宅地ごとに判定しますが、宅地の分割が親族間等で行われた場合において、例えば、分割後の画地が宅地として通常の用途に供することができないなど、その分割が著しく不合理であると認められるときは、その分割前の画地を「1画地の宅地」とします。

No.4603 宅地の評価単位 [平成31年4月1日現在法令等]  

私がその案件を受けた場合は、税務署や国税局に電話して、上記のやり方以外に、例えば、手前が道路に面した整形地、奥は道路に2m程度の幅(物件の用途や奥行きで異なる)で接道する旗竿地で評価することが可能か質問し、裏を取ってから旗竿地の評価をしたと思います。

このような分割は経済合理性の認められる分割なので説明可能と考えます。 もちろん、これは不動産鑑定士の実務の感覚であり、依頼目的が税務上の分割時の評価なので、国税局などで裏を取らないといけないのですが、このような旗竿地でも奥の物件は、減価されますし、それ以外の要因を探し出すことが出来たかもしれませんが、弊社が鑑定評価をすることは無かったです。

なお、以下のケースでも不合理分割とみなされる可能性があり、注意が必要です。

まとめ

不動産鑑定士が奥の土地を無道路地として鑑定評価を行っても、税務上、経済合理性の認められない分割と税務署で判断されれば、その評価は税務署で否認される可能性があることに注意が必要です。

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